早期退職募集されたらどうする?

サラリーマン人生の旅


サラリーマンとしての30代をあっという間に駆け抜け、40代になりました。

 

多くのサラリーマン同様、私も20代・30代という長いトンネルをがむしゃらに走りました。

 

そして・・・

 

長いトンネルを抜けると、そこは雪国だった。

 

厳しいニュースが目に付きます。

30代を駆け抜けた先に待っていたのは、役職・昇給ではなくリストラへの不安でした。

コロナ禍の状況では、「早期退職・希望退職」というワードが流行っているようです。

「派遣切り・雇い止め」などに比べて、若干オブラートに包まれてはいますが、要するにリストラですよね。

副業OKとか、週3勤務の選択制みたいのも、同様の流れです。

 

「雪国」の舞台は新潟県ですが、北陸道最大の難所で親不知という所があります。

断崖絶壁と荒波が旅人の行く手を阻み、波打ち際を駆け抜ける際に親は子を忘れ、子は親を顧みる暇がなかったことから親知らず・子知らずと呼ばれるようになったと言われる場所です。

雪国のように耐えて、我慢した先に断崖絶壁があった。

そんなサラリーマン人生の旅路を強いられるような時代になってしまいました。

「会社はもうあてにならない。」「終身雇用制は終わった。」そう感じていらっしゃる方も多いかも知れません。

 

 

 

 

早期退職・希望退職の嵐


東京商工リサーチの調査によると、早期・希望退職者を2020年内に募集した上場企業は、12月7日までに90社に達し、リーマンショック直後の2009年時(191社)に次ぐ水準となったそうです。

 

募集人数も1万7697人(判明分)となり、新型コロナウイルスによる業績悪化で、大手企業でも赤字リストラが進んでいます。

 

募集状況の一覧を見ても、大手の名だたる企業が早期退職を募集しており、どんな会社でも、どんな方であっても「親不知」という難所にさしかかることを意識しなければならない状況になりました。

 

募集対象者を見ると、40歳以上とか、45歳以上とか、悲しくなりますよね・・・。

 

つまり、40代以上のサラリーマンの方々は、この難所をどう乗り越えて行くのかが問われています。

 

今回は「早期退職募集されたらどうする?」について書いていきます。

 

 

 

 

早期退職募集されたら?


希望する・希望しないの2択なはずですが、事実上選べない場合もあるかと思います。

判断材料としては、目先の有利な退職金条件ではなく、「再就職出来るか」という部分に着目しなければなりません。それには、対外的な自分の価値をよくよく考える必要があります。

社外評価を高めるような行動をしていたり、実績や資格があるとアピールしやすいかも知れません。

これまで自分がどんなことをしてきたのか、対外的にどうアピールできたり評価される物だろうかという「棚卸し」が必要です。

もちろん情報収集は必須です。「飲食」「アパレル」「観光業」は厳しい状況なので、同業他社がリストラを進めている場合は良いキャリアを持っていても厳しいかも知れません。

また、社内評価だけが高いだけではないか?と、冷静に判断しないと思ったような条件では転職できないかも知れません。

などと、この辺りは他の記事でも出てくるので深掘り致しませんが、「これ書いてよね」って思ったのが、ローンについてです。

つまり、早期退職・希望退職する前に「住宅ローン」について必ず考えてみて欲しいのです。

 

 

 

 

ローンのご利用は計画的に


サラリーマンの最大の武器というコラムも書きましたが、大きな「ローン」を組めるのは、サラリーマンとしてその職場で一定期間頑張った成果です。サラリーマンにとって金メダルのような物です。

ですが、退職するとその武器を失います。つまり、暫く「住宅ローン」や「投資用不動産ローン」が組めなくなりますので、借換えを含むローンを組む予定がある方は注意が必要です。

ですので、リストラの不安がある方や転職を余儀なくされそうと感じている方は、積極的に「投資用不動産ローン」を組むことをお勧め致します。

将来の備えをすることが出来ますので、老後資金作りや給料の減収分を穴埋めできる物件を手に入れる事が出来ます。

ただし、転職する前に「ローン」を組む場合、一つ注意点があります。

 

 

 

 

「住宅ローン」融資実行後の転職はいいのか?


退職するという事実を隠して事前審査すると、審査に影響したり、嘘があったということで問題になる場合もあります。

つまり、後でその事実が発覚すれば条件の虚偽申告で一括返済を求められる可能性があるということです。

実は私がそうでした。今思うと危なかったですね。

審査申込み後に、事務所がいずれ閉鎖になるという事が分かり、順次退職していかなければならない状況でした。

もちろん住宅ローンの事があったので、影響しないように退職するタイミングは先延ばしにしました。

工事代金の支払いをつなぎ融資で3回で支払ったのですが、最後のローン実行の日(完成引き渡し日)は退職済みでした。

不動産の担当者には事前に伝えたはずですが、「審査後なら大丈夫です」の様な回答だったような気がします。

ですが今考えると怖い状況でした・・・。

 

では、審査終了して「住宅ローン」の融資実行後なら転職しても良いのか?

調べてみると問題ありませんとしている方も多いようです。

実際の所は、支払いが滞らなければ問題ないという場合が多いようです。

本当でしょうか?

 

 

 

 

契約書はどうなっている?


私の不動産投資でお世話になっているソニー銀行の契約書を見て検証してみます。

 

住宅ローン契約約款

第15条 期限の利益の喪失

・お客さまが次の各号の一つにでも該当した場合は、当社の請求によって本契約による一切の債務について期限の利益を失い、直ちに債務を全額返済するものとします。

  ①お客さまが当社との取引約定の一つにでも違反したとき。

  ②お客さまが当社に対し虚偽の情報提供または報告をしたとき。

  ③前各号のほか、お客さまの信用状態に著しい変化が生じる等当社が債権の保全を必要とする相当の事由が生じたとき。

 

第27条 届出事項

・お客さまの氏名、住所、署名、暗証番号、電話番号、電子メールアドレス、勤務先、その他届出事項に変更があったときまたは変更があるときは、直ちに当社所定の手続きにより当社へ届出るものとします。

・届出事項に変更があったときまたは変更があるときは、届出以前に生じた損害については当社は責任を負わないものとします。また、届出事項の不備または届出事項の変更を怠ったことによる損害についても、当社は責任を負わないものとします。

 

15条の「虚偽の情報提供または報告をした」については、ローン審査時点の提出書類が対象となります。

 

「勤務先」「年収」「勤続年数」は大事な審査項目であり、審査中に変更があった場合は、銀行に相談する必要があると言えるでしょう。

 

それによってローン借入の可否や融資額が変わる可能性はありますが、実行後に一括返済を求められるよりは良いのではないでしょうか。

 

では、ローン実行後転職した場合は、どうでしょうか。

 

契約書上「勤務先」は届出事項に含まれており、銀行に届け出た方が良いと言えます。届出なかったことによる罰則(期限の利益喪失)まではないものでしたが、15条で「27条に定める事項の報告をしなかった場合」という文言だったら届出は必須となります。

 

ご自身の契約書はいかがでしょうか。

 

住宅ローン組む場合は書類がたくさんあり、契約条項の細かい部分まで目を通して理解するのは難しいかと思いますが、ご自身の契約書がどうなっているか確認してみてください。

 

「届出事項」であるのか無いのか、「怠った場合」の罰則の有無など、契約書を必ずご確認してみることをお勧めします。

 

 

 

 

 

まとめ


早期退職・希望退職という場面は、サラリーマン人生にとっての大きな転換点です。ピンチでありチャンスでもありますが、大事なのは事前に情報や武器を集めることです。

 

全てのサラリーマンにとって「住宅ローンを組める」という事は、強力な武器ですが諸刃の剣でもあります。正しい使い方をしなければ自分を傷付けることになりかねません。

 

難所にさしかかる前に、どう武器を使うのか考えておかなければなりません。

 

幸い、私と同年代のサラリーマンは色々考えざるを得なかった就職氷河期世代です。多少の荒波にもまれることも慣れておりますし、雪国だろうと断崖絶壁だろうと逞しく乗り越えてくれるでしょう。

むしろ逞しい方であれば、現在の信用力で投資用不動産をローンで購入、有利な退職金条件で早期・希望退職、転職してさらなる活躍なんていう事もやりのけてしまいそうです。

そんな、どう行動したかで差が大きくつく世の中になってしまいました。

あなたは「早期退職・希望退職募集」という社内掲示を目にする時のために、どこまで準備が出来ているでしょうか?

WRITER / 執筆者

株式会社マイプロ

飯山 芳治

1980年生まれ/埼玉県出身・在住
2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人 日本マンション投資アナリスト協会 会員
「お客様のリスクを最小化すること」をモットーとする投資コンサルタントであり、自ら2戸のワンルームマンションを所有する投資家でもある。

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