投資物件を所有すると、必ずと言っていいほどこんな売却を促すようなダイレクトメールが届きます。
「〇〇マンションの買い取り強化中!どこよりも高く買います。」
なんて事が書いてありますが、これまでお付き合いのない、全く知らない不動産業者です。
なぜでしょうか?
そもそもどうやって、自宅住所を知り、名前を知り、投資用マンションを所有していることを知り、アプローチしてくるのでしょうか?
不動産業者が情報を流したのでしょうか?
どこから情報が漏れたのかと、疑心暗鬼になる方もいらっしゃるかもしれません。実はこれ、情報が流出したとか、名簿業者から不動産業者が情報を仕入れてDMを送ってくる訳ではないんです。
今回は、物件購入後に送付されてくるDMについて明らかにしたいと思います。
このコラムでわかること
1.なぜダイレクトメールが送られてくるのか
・ダイレクトメールを止めるには?
2.ダイレクトメールを送付してくる不動産業者の狙いとは
・見込み客として
・物件の仕入れ先として
3.どのようにダイレクトメール不動産業者と付き合うか
4.私の事例を元に資産価値を把握する
5.まとめ
1.なぜダイレクトメールが送られてくるのか?
ワンルームマンションオーナーになると、不動産投資家(物件所有者)である事が分かってしまいます。
なぜなら、登記をするからです。
それはイコール、誰もが登記簿を見ることで登記されている情報(物件の所有者名・住所など)を調べることが出来るようになるということです。
実際、よくダイレクトメールを送ってくる不動産業者さんのHPには、よくある質問として以下のような回答が掲載されています。
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Q:住所はどこから知ったの?
A:皆様が物件を購入した際に、その物件を管轄する法務局が管理する登記簿に登記されております。
登記簿は法律により誰でも閲覧可能で、当社は社団法人が運営している 登記情報サービスというインターネットのサイトから登記簿を閲覧しております。
当社では物件をお持ちの所有者様の登記簿を閲覧させていただき、お手紙を郵送させていただいております。
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以上の通り、何ら違法性もないので、ダイレクトメール送らないでくださいと言うことも出来ませんし、基本的には止めることは出来ません。
ダイレクトメールを止めるには?
それでも度々届く大量のダイレクトメールを何とかしたいという場合に、不要なダイレクトメールを止める方法として、2つの方法があるようです。
1つは、自分で直接、当該企業にその旨を依頼するという方法です。
個人情報保護法により、消費者は自分に関する情報の利用停止などをその問題の事業者に求めることができるようになりました。
各社ホームページ等で個人情報の取扱について担当窓口などを定めておりますので、簡単に意思表示が可能です。
もう1つは郵便局による受取拒否です。
迷惑な郵便物等が届けられた場合、受け取りを拒絶することができます。
郵便物等に下記事項を記載したメモ、付せんを貼り付け、配達担当者に渡す、もしくは郵便窓口に持参する、あるいは郵便ポストに投函することで差出人に返還されるんだそうです。
・「受取拒絶」の文字
・受け取りを拒絶した方の印を押印又は署名を記載
もし一切の郵送物を拒否したいと言うことでしたら、試してみてください。
ただし、不動産業者は数多く存在しますので、ダイレクトメールを完全に拒否することは出来ません。事後対応で1社ずつ潰していくことになります。
実際、不動産を所有してから1年半ほどで不動産業者としては3社、回数としては5通くらいダイレクトメールが届きましたが、既読スルーをしております。電話番号は知られていませんので、それ以上の連絡はありません。
初めは気持ち悪く感じるかも知れませんが、2戸目以上のオーナーになると送ってこないと逆に「物件に価値がないのかな?」と不安になりますので、届くのを楽しみにしていただければと思います。
地方在住の不動産産オーナーさんにもダイレクトメールが届いているのかどうかは分かりませんが、チラシ広告と同じような物とお考えください。
2.ダイレクトメールを送付してくる業者の狙いとは
見込み客として
不動産業者は基本的に取引により大きな利益を得ております。そのために常に集客していかなければならず、現に不動産オーナーであれば見込み客になります。
また、物件管理をしている大きい不動産業者の場合は、賃貸管理やリフォームの提案、情報提供による社名の認知と宣伝効果を狙っていると思われます。
ダイレクトメールの結果として何件くらい集客に繋がっているのか分かりませんが、必ず送付してくる不動産業者もございます。対象を絞っている分、一定の効果はあるのでしょう。
物件の仕入れ先として
コロナによる社会不安も追い風なのか、不動産投資をする方が増えています。
2千万円以下の物件も中々出ず、出てもすぐに売れてしまうという状況です。昼に物件情報をもらって夕方には売れてしまってるなんてこともあります。
不動産投資業者としては、直ぐに売れるのであれば物件の確保が大事になってきますが、営業マンの話では仕入れがどんどん難しくなってきているそうです。
妥当な仕入れ額で買おうとしてもそれ以上の価格で他の業者が買い取っていくという事例があるとの事でした。買い取り競争によって、価格が上昇しているのですね。
実際、(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」によると、東京都区部の物件数は前年比でマイナス7.2%となっており、価格は5.3%程前年比で上がっております。
そのため、不動産業者としては一般のお客さんから物件を仕入れた方が有利な条件になりますので、物件を売ってくれるお客さんは大歓迎なのです。
3.どのようにダイレクトメール業者と付き合うか
やむを得ない事情により所有不動産を売らなければならない時に、高く買ってくれる不動産業者がいてくれると安心です。
それこそ、買いたいという事でダイレクトメールを送ってくれているので、査定に出したら話が早いです。相手方の担当者が記載してある場合もありますし、発番されている場合は送付状に記載されているので、問い合わせる際に活用できます。
宣伝文句なので余り信用できませんが、どこよりも高く買い取りますなんて書いてる場合があります。本当に相場より高いかも知れませんし、不動産業者によっては〇〇で買い取りますっていうような記載がある場合もあります。
私個人としては、そういう不動産業者は問い合わせるという手間も省けますし、いいダイレクトメールだなと思っています。金額提示してくれる不動産業者のダイレクトメールは大歓迎です。
なぜなら、不動産投資は長期で安定しているとはいえ投資です。
長期保有が基本になりますが、その間に人生何があるかわかりません。預金や保険等で対応できない場合、資産を売るという事も選択肢になります。
また、負債が残る場合であっても、売らなければならない事態になってしまう事もあるかもしれません。不動産は借入額が大きいので、自分や依頼者の全ての物件の価値は適切に把握しておかなければならないと思っています。
実際に私もいくつかのサイトに登録し、情報収集をするようにしております。
もちろん、売主だった不動産業者に買ってもらうことも可能です。依頼すれば査定額を出してくれますが、買い取り額と市場価値というのは多少の開きがありますので、いくつかの情報をもとに大体の金額を把握するようにしています。
その中でも、ダイレクトメールでの買い取り金額と、売主だった不動産業者からの査定額は信頼できると思っております。
では、どれ位買い取り価格に差が生じるのでしょうか。私の物件の事例をご紹介いたします。
4.私の事例を元に資産価値を把握する
私の2戸目の物件について、概要を記載いたします。
【住所】東京都大田区
【立地】駅徒歩8分
【築年数】築32年
【物件】980万円
【購入年月日】2020年4月
私の資産の棚卸をするために、2020年5月に売主の不動産業者に簡易査定をして貰いました。
結果としては、買い取り価格は700万円だけど、市場に出すと800万円~900万円で売却できる可能性があるとの事でした。
では、一年弱経過した2021年の3月での買い取り価格はどうなっているのでしょうか?
サイトに情報を登録すると物件の資産価値レポートを送ってくれるサービスがあるのですが、そこでは、想定価格は590万円~620万円でした。
だいぶ低い評価です・・・。ちょっとショックですね。
同じマンションの他の部屋の売り出し価格で相場を判断しているようですが、最新の売り出し単価が下がったため、低くなったようです。
具体的には、先々月までの売り出し状況として、平米単価が3つ載せてありました。平米単価が37万円だったので、その単価をベースにすると600万円程になり、古い平米単価が50万円だったようで、旧単価で計算すると800万円になる計算でした。
では、先月届いたダイレクトメールではいくらで買いますと書いてあったのかというと、1,040万円で買いますという事でした!
現在時点の残債務が975万円なので、今売ってもちょっと儲かるぞ!という事で、届いて嬉しいダイレクトメールでした。
ダイレクトメールによると、この物件を欲しがっている法人がいて、その法人が仲介手数料を倍額払ってくれるから仲介手数料は無料でいいそうです。何だか好条件な気もします。
でも、このタイミングでは売りません。なぜなら収支がプラスの物件ですし、今売っても手元にはほとんど残らないのです。また、将来的な資産形成のために不動産投資をしているので、売って数十万プラスになったところで意味がありません。
さらに、物件の保有年数が5年以下なので、短期譲渡所得になり税率が倍になるため、実質的な儲けというのはほとんどありません。つまり短期間でのキャピタルゲインはほとんど期待出来ないという事ですね。
私の物件の事例でも3社の査定額に大きな差があることがわかりました。
このことからも、あなたが投資用マンションを所有していて資産価値を把握したいと思った場合、情報を分析したり経験など相場観も必要となってくると言えそうです。
まとめ
物件を売ってくださいというダイレクトメールは必ず届くものです。
拒否する方法はありますが、第二、第三の不動産業者が出てきますし、その情報をどう活用するかを考えてみるのもいいかもしれません。
物件価値を把握するためには、簡易査定サイト、ダイレクトメール、固定資産税の課税標準額、付き合いのある不動産業者、売主である不動産業者など様々な情報源を活用するのが良いと思います。
私の物件では980万円で購入した物件が、590万円~1,040万円という評価額になりました。購入額を100とすると、60%~106%という大きな差になっています。
人生何があるかわかりませんので、その時にどう対応できるか、どう備えるかという事は大事になってきます。不動産投資は金融資産ほど価格が大きく変動することもなく、時間の経過とともにリスクは小さくなってきます。
ゴミ箱に捨てている方もいるかもしれませんが、ダイレクトメールを活用して様々な情報分析するというのも、投資家としてのたしなみではないでしょうか。
そんな面倒で手間のかかることはしたくない、興味がないという方は、我々分析のプロにお任せいただければ、適切に資産管理をすることが出来ます。
我々の仕事は、細かい部分を適切に把握して、最善の備えと準備をする事だと思っています。
心配事や不安の解消、リスク管理、買増し、繰り上げ返済戦略など、物件購入後も考えることは多くありますので、プロのアドバイスをご活用ください。
私も自分の経験や依頼者の経験を積み重ね、よりよいコンサルティングが出来るように情報収集して参ります。
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