コロナがシェアハウスにもたらした影響

「テラスハウス」

「かぼちゃの馬車事件」

共通するのは「シェアハウス」という比較的新しい形の住まいです。

 

世間を騒がす大きな事件や痛ましい出来事が続き、何となくシェアハウスはイメージの悪いものとなってしまいました。

もちろんそれ自体に罪はなく、シェアハウスで楽しく生活をしている人も、シェアハウスへの投資で利益を上げている投資家も存在するのですが。

 

 

 

シェアハウスに住み続ける友人

 

私の大学時代からの友人に、現在進行形で8年もの間シェアハウスに住み続けている友人がいます。女性で、もちろん独身です。

自転車が大好きで、食事をするのに秋葉原から青山までの約8キロもの道のりを自転車で行ってしまうという若干の変わり者です。

余談ですが、8キロというのは博多駅から福岡タワーくらいまでの、自転車で移動するには結構しんどい距離です。

 

そんな彼女に最近、シェアハウスについて取材する機会を得ましたので、「シェア」したいと思います。

 

 

彼女が住むシェアハウスは、東京都文京区の根津という、東京大学や上野動物園にほど近い場所にあります。

築110年という元長屋の古民家をリフォームしてシェアハウスに改装したものです。

家賃は光熱費・管理費込みで33,000円という破格のお値段。

 

ただし、個室は無し。

大部屋・小部屋・女性部屋の3種類で、それぞれの部屋に2段ベッドないしは3段ベッドが設置されている、いわゆる「寮」のような雰囲気を感じさせる物件です。

 

住人は最大26人までで、現在の入居者は13名。

ここに住みだして8年目となる彼女は、今では一番の古株となったそうです。

 

 

 

シェアハウスというカオス

 

シェアハウス未体験の私が一番気になっていたのは、「どんな人が住んでいるの?」ということです。

いくらなんでもさすがに恋愛に積極的な美男美女ばかりが集まっているとは思っていませんが、やはりTVの影響か、入居者やその人間模様には興味が湧きます。

 

もちろん物件によって色々と違いはあるようですが、基本的に住人は単身者です。

プライバシーが完全に確保される空間ではないのですから、これは当然といえば当然でしょうね。

 

学生や若年層の社会人がメインですが、過去には70代のお爺さんも入居していたそうです。

中には遠方の実家住まいで、通勤時間を短縮するために、平日寝泊まり用のセカンドハウスとして利用していたという方も。

これまでの最年少入居者は、なんと中学2年生。芸能活動をしているため、舞台の稽古と本番のために2ヶ月ほどの短期間で入居していたんだとか。

なんだか楽しそうですね。

 

様々な年齢層の人がそれぞれの理由で入居しているのですが、ほとんどの人に共通するのは、「○○まで」という仮住まい的な要素です。

 

ちなみに、言うまでもありませんが、エンターテイメントの世界で描かれるようなドラマチックな展開は、そうそう起きるものではありません。

 

 

 

ワンルームマンション予備軍

 

シェアハウスの入居者にとって一番のメリットは「費用」です。

敷金・礼金・保証料などに加え、家具や家電の購入などの初期費用が最小限で済むというのは、その費用を捻出することが難しい人にとっては福音です。

さらに、「短期間」という用途で住まいを探している人にとっても、無駄になる費用がほとんどないシェアハウスのシステムは魅力的です。

 

都心に近い好立地の物件に低料金で住むことができるというメリットがある反面、やはりその居住スペースの狭さや、プライバシーの問題などのデメリットがあるのがシェアハウスです。

 

従って利用する目的がなくなれば退居するという人がほとんどなのですが、「お金が貯まったからワンルームマンションに引っ越す」というパターンが一番多いのだそうです。

つまりシェアハウスの住人は、ワンルームマンション予備軍とも言えます。

比較的短期間で退居する人が多い中、私の友人のように8年間も住み続けるのは結構レアなケースのようです。

 

 

 

退去者続出の大問題

 

今年に入り、シェアハウスに住む人にとっても、そしてシェアハウスに投資をする投資家にとっても大きな懸念となる問題が発生しました。

そう、コロナウイルスの流行です。

 

「3密」そのものとも言える形態の住まいです。

そして構造上どうしても共用部や共用物が多くなります。

もちろん一般的な感染予防対策は行っているものの、誰か一人が持ち込んでしまったら・・その後の展開は想像するに難くありません。

 

そのため老人介護の仕事をしている住人が、感染リスクを回避するために退居していったという事例があったそうです。

 

また、親に心配を掛けまいと、勤めていた会社を辞めたことを内緒にし、生活費を抑えるためにシェアハウスで生活しながらアルバイトで食いつないでいた入居者が、コロナを理由にして堂々と地元に帰っていった。なんてこともあったそうです。

 

普段は入居者に学生が多い土地柄ですが、東大生と東京芸大生が一人もいなくなったというのは8年間暮らしていて初めてのことだったそうです。

夏休み期間に「お試し」で入居していた学生が、後期もオンライン授業に決まったため必要がなくなり退居した。というケースもあったそうです。

 

幸いなことに彼女が暮らす物件では、これまでのところ感染者は出ていないそうです。

 

 

ところで、総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、7月の東京都への転入者は28,735人、転出者は31,257人でした。

大学進学や就職、転勤などに伴う東京への引っ越しの先送りなどにより転入者が大きく減少し、5月に続き転出超過となったのだそうです。

 

より流動的な単身者のニーズを捉えているシェアハウスでは、その影響が鮮明に出たようです。

同じく単身者向けであるワンルームマンションなどの一般的な住居に比べ、シェアハウスは「限定されたニーズ」に特化した住まいであるため、ちょっとした要因によってその需要が大きく上下するのは致し方ないことかもしれません。

 

それでもシェアハウス物件が増え続けているのは、都心好立地を求める単身者層のニーズの底堅さを表したものとも言えますが、今後競争の激化は避けられないものと思われます。

 

さらにコロナの流行は、住む人にとってのそこで生活することの「安全性」という部分にも警鐘を鳴らすことになりました。

防犯カメラやオートロックでは解決できない問題です。

 

前述の物件も、定員26名のところ現在の入居者は13名ということですから、入居率は50%ということになります。

これでは仮に満室想定での利回りが15%あったとしても、実際には7.5%にしか届かないということになります。

 

シェアハウスという形の住まいは、入居者にとっても投資家にとっても、大きな転換点に差し掛かっていると言えるのかもしれません。

 

 

WRITER / 執筆者

株式会社マイプロ

飯山 芳治

1980年生まれ/埼玉県出身・在住
2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人 日本マンション投資アナリスト協会 会員
「お客様のリスクを最小化すること」をモットーとする投資コンサルタントであり、自ら2戸のワンルームマンションを所有する投資家でもある。

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