空飛ぶ電車とマンション投資

埼玉県で生まれ育ち、幼少期から現在に至るまで、隣接する東京都への通学・通勤を繰り返してきた私にとって、「電車」は毎日使うものであり、欠かせない存在でした。

これは埼玉県に限ったことではありませんが、一都三県、つまり東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県をまとめて首都圏と表現しますが、今も昔も首都圏に住む者にとっての基本的な通勤・通学手段は電車であり、必要不可欠なインフラです。

 

今回は、首都圏で電車を利用する勤労者の目線から、住みたいと思うエリアや、通勤圏の変化とマンション投資の今後について書いてみようかと思います。

 

 

 

空飛ぶ電車

首都圏で暮らす者にとって電車に乗る時間は、はっきり言って大きなストレスです。

電車に「座れる」なんて夢のまた夢。

朝晩は身動きがとれないほどにギュウギュウなのがむしろ「標準」です。

それでも通勤や通学で必要だから、みんな仕方なく使っているだけです。

 

中学生の頃に通学のため、JR総武線の混雑率1位と言われる区間を利用していました。

ただでさえ混雑することで有名な総武線の、その中で最も混雑する区間です。

よく駅員が乗客を外から押し込んでいる映像が流れますが、大げさでなくあれが毎日リアルです。

 

ある日、ついに私は空を飛びました!

満員電車の中で、私の身体が完全に宙に浮いた状態で固定されてしまったのです。

実際に“飛んでいた”のは1駅の区間でしたが、永遠に続くかのようにも感じられた苦痛の時間でした。ずっと忘れられない思い出(悪夢)です。

 

JR総武線はいまだに200%近い混雑率ですね・・・。

路線によっては、根本的な解決が難しかったりします。

 

通勤・通学時間を減らすということは、首都圏で暮らす者全てに共通した、切実な願いです。

 

 

 

東京に集中する現実

しかしなぜこんなにも混雑するのでしょう?

 

東京都の発表しているデータに「東京都への流入人口」というものがあります。

一日あたりどのくらいの人数が、通勤や通学などで県境を越え東京都に流入しているか?というデータですが、調べてみて予想以上の数字に面食らいました。

 

神奈川県→東京都 1,068,505人

埼玉県→東京都 936,100人

千葉県→東京都 716,881人

合計 2,721,486人

なんと、神奈川・埼玉・千葉の3県からだけで、毎日270万人もの人が東京都に流入しているんです!!

 

ちなみに、福岡市の人口は約154万人です。

北九州市の人口は約96万人です。

福岡市民が全員総出で北九州市に押しかけたとしても、その人数に及びません。

そりゃ電車も満員になる訳です。

 

 

 

通勤地獄の切り札

そういった「通勤地獄」「通勤戦争」と言われる状況を、鉄道各社は増便や車両の改善、直通路線の増加などで緩和しようとしてきました。

そして、首都圏の鉄道網は結びつきを強め、一蓮托生になり、一つのエラーが全体に及ぶようになると、通勤者間で妙な連帯感が出てくるようになってきました。(終電の待ち合わせなんて30分位することもあります・・・)

 

これがちょっと適切な表現かどうか分かりませんが、例えばJR筑肥線の姪浜駅で発生したエラーが、西鉄大牟田線の大橋駅から乗ろうとしている乗客にも影響を及ぼす、みたいな。

もしくは、JR鹿児島本線の終電の到着遅れを、市営地下鉄空港線の終電が博多駅から発車せずに待っている、というような。

 

でも、そんな通勤者みんなが感じていた平等感や一体感のようなものに水を差すことになったのが、「有料通勤特急」の出現でした。

 

今や、導入していない首都圏の路線はないのではないかという位、ほとんどの路線で有料通勤特急が導入されています。JRのグリーン車ではなく、専用車で通勤区間を走り抜けます。

料金は500円以内くらいで、確実に座れる座席と、コンセントやWi-Fiなども装備されています。

 

導入された当初、「追加料金を払ってまで誰が乗るんだ」って思っていましたが、見たところ予想に反して結構な乗車率です。

普通のおじさんから女性、若そうな人まで。

 

高い乗車率の背景を想像するに、多様性と格差社会でしょうか。

・バブル期に郊外に住居を購入した層が、子育て等も終わり役職もあり、お金に余裕がある

・共働きの女性もしくは独身シングルで、お金を多少自由に使える女性の利用

・成果主義の勤務形態から、エネルギーを消費するより快適さや作業を求める層

 

実際、乗車率100%と発表する鉄道会社もあるなど、非常に好調のようです。

 

路線によってかなり所得格差があるはずなんですが、それでも各社横並びに導入が成功していることから、郊外一戸建て層の「節約よりもストレス減を求める傾向」が強くなっているのではないかと思います。

首都圏では、分譲住宅などの宣伝文句の一つに「始発駅」というのがありましたが、いまでは「有料通勤特急停車駅」っていうのも高い付加価値になるのだそうです。

 

 

 

変わりゆく通勤圏

しかしながら私は、今後10年、長く見ても20年ほどで有料通勤特急は下火になるだろうと予想しています。

 

一番の理由は、住居や通勤に対する意識の変化です。

「遠くても不便でもいいからマイホーム」という時代は終わりました。

現に、郊外の団地やニュータウンでは、建替えなどで再開発できる所と、通勤者が離れ高齢化が急速に進む所にはっきり分かれてきています。(例:多摩ニュータウン)

利便性の高い駅や路線に人口が集中する傾向が続き、長距離通勤者は減少していくことでしょう。

 

「節約よりストレス軽減を求める傾向」は、最終的には通勤時間の短縮に行きつきます。

不動産情報誌やサイトには、路線図と所要時間が必ず書いてあり、住居を決める際の最重要ポイントは通勤時間といえます。

一度知ってしまった「通勤ストレスフリー」な生活は、なかなか手放すことができません。

特に単身層は、車の保有率も低く、その分の費用を住居に充てることが出来ます。

首都圏への人口の流入は続いていますし、未婚率の増加や核家族化の影響を受け、単身世帯は今後も増加し続けます。

(※総務省統計局によると、2040年には単独世帯の割合は約40%に達すると予測されている)

 

そして災害リスクも見逃せないポイントです。

東日本大震災の際に「帰宅難民」と報じられた、自宅まで10km以上もの距離を歩いて帰宅する人々の光景は、まだ記憶に新しいのではないでしょうか?

地震や台風などの災害により、電車という交通インフラが麻痺すると、遠距離通勤者は帰宅する術を奪われ、場合によってはそれが生命の危機に直結する可能性すらあります。

 

今回のコロナ禍では、満員電車のリスクがさらに如実に現れることとなりました。

「with コロナ」と言われる時代に、感染リスクに怯えながらの長時間通勤を、わざわざ選択する人はもはやいないでしょう。

 

 

 

需要の底堅いマンション投資

今なお、首都圏ではタワマンやオフィスがどんどん空に向かって伸びています。再開発計画もたくさんあり、大学キャンパスも都心回帰の流れにあります。

エリアでいうと圏央道内側で、時間でいうと勤務地であるオフィスエリアから電車で1時間程度が、今後の通勤エリアとしての限度になってくるように思います。

 

弊社がご紹介する都心のワンルームマンション物件の入居率は、98%を超えております。

特に単身者が、より便利で通勤ストレスのない環境を求める傾向は変わりませんし、今後さらに入居対象者が増える状況が続きます。

 

また、ワンルームマンションの開発には規制があるエリアが多く、新規供給が限られている分、中古ワンルームマンションは値崩れしにくいものとなっております。

 

つまり、将来的な資産形成をする上で、都心駅近の単身者用マンション(ワンルームや1K)は長い目で見ても家賃が落ちにくく、空室も出にくいため、安定収入を期待できると言うことができるでしょう。

 

 

WRITER / 執筆者

株式会社マイプロ

飯山 芳治

1980年生まれ/埼玉県出身・在住
2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人 日本マンション投資アナリスト協会 会員
「お客様のリスクを最小化すること」をモットーとする投資コンサルタントであり、自ら2戸のワンルームマンションを所有する投資家でもある。

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