「新築マンションは買ってはいけない」は本当?

不動産投資について少しでも調べ出すと必ず

「新築マンションは買うな!」

というフレーズを見聞きします。

 

携帯や職場などに、ある日突然不動産会社から営業電話が掛かってきたという経験がある方も多いのではないでしょうか?

それ、十中八九が新築マンションの販売業者です。

 

私自身もこれまでに、数えきれない程の営業電話を受けています。

東京がほとんどですが、大阪、名古屋などの業者さんからも電話がありましたね。

つい先週も、大阪の業者さんから電話がありました。

 

その内何度かは実際にお会いして話を聞いたこともあります。

「詳しくお聞きしたい」と言うと、すぐに東京から営業マンが飛んできました。

もちろん、先方は私の職業を知らないのですが・・

 

 

割高な家賃「新築プレミア」

結論を先に言ってしまえば、必ずしも新築マンションだからNGという訳ではありません。

一般的に、物件は新しいほど競合力があります。

その観点で言えば、最も競合力があるのは新築物件ということになります。

同じ場所に新築マンションと築10年のマンションが建っていたとして、もし家賃や広さなどの条件が

全く同じであれば、お部屋を探しているほとんどの方が新築物件の方を選ぶことでしょう。

 

とはいえ家賃が同じということはまずあり得ません。

なぜか?

割高な家賃を払ってでも新築の未入居物件を希望する方が、常に一定数いらっしゃいます。

そのため、「新築プレミア」と呼ばれる割高な家賃に設定されていることが一般的だからです。

 

ですが少なくとも投資をする側にとって、新築物件の競合力と、それを活かした割高な家賃設定は、メリット以外の何ものでもないはずです。

 

 

 

物件価格と収支

ではなぜ「新築マンションは買うな!」と言われるのか?

一番の問題は、その物件価格にあります。

 

新築物件の販売価格には、当然ながら販売のための広告宣伝費やデベロッパー利益が含まれています。

前述した営業マンのように、東京から全国各地への交通費や宿泊費も必要でしょうし、さらに彼らには、成約数に比例する高額インセンティブが約束されています。

土地を仕入れて更地にし、設計して施工して・・1年以上の期間がかかることもザラですが、その間も金融機関からの借入に対する金利が発生します。

これら諸々の費用は全て物件価格に跳ね返るため、どうしても新築物件の価格は高額となってしまいます。

 

弊社のお客様は、ほぼ全ての方がローンを組んで物件を購入されます。

そのため、新築物件の価格設定では収支がマイナスになってしまう(家賃で経費やローン支払い分を賄えない)場合がほとんどです。

これでは毎月手出しをしなければならない状態となります。

 

そもそも収支の計算の根拠としている家賃は、新築プレミアで設定されていたものです。

新築時の入居者が退去したタイミングで、家賃が大幅に下落するのが一般的です。

家賃の下落により、収支はさらに悪化します。

 

せっかく手に入れた新築物件も、購入した瞬間に中古物件となってしまうというのも見逃せない事実です。

思うような収益が得られないから、と売却しようとしても、購入価格と比べてその売却価格が2〜3割も下落していた、なんてことはよく聞く話です。

 

 

結局、新築マンションだから悪いということではなく、全てはその物件価格と収支次第ということでしょう。

 

大切なのはCF(キャッシュフロー)と投下資本回収率です。

どんなに立地が良くて物件のクオリティが高く、入居者が途切れることがないような物件だとしても、CFがマイナスでは何の意味もありません。

 

CFがマイナスでは、投下した自己資金を永久に回収できませんし、仮に売却時での回収を目論んだとしても、それはほとんどの場合期待外れに終わります。

そもそも、最初からCFがマイナスで毎月手出しをしなければならないようなものを、投資とは呼べません。

 

特にローンを組んで購入する場合には、より綿密な計算と計画が必要です。

少なくとも、販売業者の説明を鵜呑みにして、勢いで購入してしまうことは止めた方がいいかなと思います。

WRITER / 執筆者

株式会社マイプロ 代表取締役

岡本 真治

1977年生まれ/神奈川県出身・福岡市在住
宅地建物取引⼠ / 2級ファイナンシャル・プランニング技能⼠ / ⼀般社団法⼈ ⽇本マンション投資アナリスト協会 会員
自身の失敗から得た教訓を生かし、「お客様に失敗させないこと」を第一に考えるコンサルタント。

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