路線価と不動産投資

「路線価」ってご存知でしょうか?

 

不動産投資で「路線価」を調べることは基本中の基本と言われております。

 

しかしながら、「路線価」は余り一般的ではありません。

 

自宅を取得後、固定資産税を支払う際に基準となる「固定資産税評価額」には注目していましたが、路線価を意識した事はありませんでした。

 

「公示価格」「路線価」については「住宅地が下がった」「商業地は上がった」「〇〇地点が上昇」など、ニュースでご覧になったこともあるかも知れません。

 

景気の指標にしたり近隣の県と比較してランキングを意識したり、自分には遠い「価格」と思ってしておりましたが、実は「路線価」は道路の1本1本に設定されている一番身近な「価格」なのです。

 

では、目の前の道路の「路線価」を調べることで不動産の何が分かるのでしょうか。

 

 

コラムでわかること


1.路線価とは

2.土地に関する4つの価格

3.不動産投資と路線価

4.ワンルームマンション投資における路線価

5.まとめ

 

 

 

 

 

 

1.路線価とは


「路線価」は、道路に面する宅地の、1平米当たりの評価額のことを言います。

 

課税価格を計算する基準となるものであり、相続税や贈与税の基となる「相続税路線価」と、固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる「固定資産税路線価」があります。

 

単に「路線価」と言った場合、「相続税路線価」を指すことが多くなります。毎年1月1日を評価時点として、その年の7月に国税庁が公表しており、だれでも閲覧することができます。

 

道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格を1,000円単位で表示しています。横にアルファベット記号があるのですが、借地に関する数値を表しています。

 

 

 

 

 

 

 

2.土地に関する4つの価格


土地には4つの違った価格があります。「一物四価」といわれています。

 

 

・時価(実勢価格)

・公示価格(公示地価)

・相続税評価額(路線価)

・固定資産税評価額

 

 

以上の4つの「価格」があり、それぞれ違う基準で評価され、利用されている「価格」です。

 

 

 

【時価(実勢価格)】

実際に取引された価格や、周辺の取引事例から推定した価格です。

 

国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」で調べることが出来ます。

 

※21.04.26付けで令和2年10月~12月分の不動産取引価格情報を公表しており、新しい情報も知ることが出来ます。

 

 

【公示価格(公示地価)】

国土交通省が公示する標準地の価格です。

 

毎年1月1日時点の地価を評価し、3月下旬に公示されています。国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」で調べること出来ます。

 

※実際の不動産鑑定士の鑑定評価書も見ることが出来ます。土地の将来予測や市場の特性など、詳しく知りたい方はご覧ください。

※「基準地価」という価格もありますが、これは公示価格を補完するもので、調査主体は都道府県で9月下旬に公表されます。

 

「公示価格(地価公示)」と「基準地価(地価調査)」は「土地総合情報システム」でも合せて調べることが出来ます。

 

 

【相続税評価額(路線価)】

相続税や贈与税の課税基準になる価格です。

 

道路毎に国税庁が定めた単価から、土地の価格が算出されます。

毎年1月1日時点での路線価を評価し、毎年8月前後に国税庁が公表しております。

国税庁のWEBサイトで路線価図を調べることが出来ます。

 

※現在令和2年(最新)から平成26年分の7年間分の路線価を調べることが出来ます。自宅の路線価の推移を容易に調べることが出来ます。

 

 

【固定資産税評価額】

固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの基準になる価格です。

 

市町村が決定し、3年毎に評価替えが行われる。5月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できる。市町村役場にある固定資産課税台帳で確認することも出来ます。

 

固定資産税は3年固定されますが、評価替えで税額が上がるのか下がるのか、心配な方は他の土地「価格」を調べることである程度予測することが出来ます。

 

 

 

以上、4つの「価格」がございます。

 

それぞれの「価格」には役割があり評価額には差がございますので、以下の目安を参考にしてください。

 

「実勢価格」→「公示価格」の110%が目安

「相続税評価額(路線価)」→「公示地価」の80%が目安

「固定資産税評価額」→「公示地価」の70%が目安

 

 

 

 

 

 

3.不動産投資と路線価


不動産投資においては様々な「価格」があると説明しましたが、土地の価格を算出するために使えるのが「路線価」になります。

 

残念ながら良心的な不動産会社ばかりではございませんから、こちらの知識や情報が不足している場合、足下を見られて不利な価格で取引成立してしまうかもしれません。

 

そのため、我々のようなプロがサポートに付いていない場合、自ら「価格」を算出したり知識武装することが必要となってきます。

 

路線価から割り出した土地価格と、実勢価格(取引価格)や不動産会社の査定額の間に大きな差がないかチェックしてみてください。

 

また、土地や物件を売買しないとしても、税額の推移や土地価値がどうなっているのか、興味を持っていた方が様々なリスクへの備えになることでしょう。

 

路線価の見方と地価の算出方法を簡単に説明致します。

 

路線価は地図上の道路すべてに数字とアルファベット(借地割合)で示されています。

 

例えば数字が「200」とあれば、1,000円単位ですので1平方メートルあたり20万となります。路線価は公示地価の80%が目安です。

 

 

例:路線価「200」の土地200平方メートルの公示価格は?

 

20万円×200平方メートル÷0.8=5,000万円となります。

 

土地の実勢価格は公示価格よりも10~20%高いのが目安になっているので、実際の取引価格は5,500万円前後になります。土地が借地権の場合はアルファベットの割合をかけてみてください。

 

また建物の価格については、これも計算で出すことが可能です。詳細は割愛しますが、土地と建物の合計額を金融機関が評価する事で、融資を受けることが出来るのです。

 

 

 

 

 

 

4.ワンルームマンション投資における路線価


不動産投資で最も大切なことは、物件の立地です。

 

ワンルームマンション投資は、東京という資産価値が高いエリアの物件を購入することになるので、どんな土地を取得することになるのかが大事です。

 

築30年を超えるような築古のマンションを購入する場合、物件価格における建物価格の割合は低く、ほとんど土地代という場合があります。実際に私が購入した築30年の物件は70%が土地価格とされていました。

 

つまり、立地が大事になってきます。築年数が古い物件は土地を買うという意識をした方が良いかも知れません。

 

不動産投資では金融機関でローンを組むことが多くなりますが、路線価が高いエリアの物件であれば金融機関の担保評価が高く、ローン額や条件において有利になりそうです。

 

過去数年分の路線価を調査すると、自分が購入した物件がどのような立地と評価されているのかを知ることが出来ます。需要が高ければ路線価は上がり、人気がなければ路線価は下がっているはずなのです。

 

路線価が上がっているエリアであれば、家賃相場も落ちにくい・空室が出にくいエリアといえるでしょう。国が評価している数値なので、資産価値が維持されやすい物件といえます。

 

このように不動産投資において「路線価」の活用は非常に重要です。

 

実際に、路線価の5年間の推移を調べてみました。

 

【実家】埼玉県(郊外) 

路線価:5年間変動なし

 

【自宅】埼玉県さいたま市 

路線価:5年間で11.76%増加

 

【投資物件A】大田区

路線価:5年間で17.64%増加

 

【投資物件B】大田区

路線価:5年間で20%増加

 

【投資物件C】世田谷区

路線価:5年間で26.66%増加

 

【投資物件D】大田区

路線価:5年間で15.25%増加

 

【投資物件E】台東区

路線価:5年間で37.03%増加

 

 

以上の通り、好立地であるほど路線価が高くなっていることが分かります。東京23区の投資用ワンルームマンションがあるようなエリアであれば15%は上がっていると言えそうです。

 

このことから、中古マンション価格が上がっている要因として、土地価格が上がっていることも影響しているのがはっきりと示されました。

 

例えば、2,000万円のワンルームマンションで50%が土地価格だとしたら、5年前より150万円以上も値上がりしている計算です。

 

もし、5年前に不動産投資を開始していた場合、建物価格の減少より土地価格の増加が大きく、購入時より高く売れる可能性もありそうですね。

 

 

 

 

 

 

5.まとめ


不動産投資における物件価格には土地の「価格」と建物の「価格」両方が含まれておりますが、建物価値は経年で減少していくのに対し、土地は価格が変動します。

 

土地価格の目安として「路線価」はとても大事な数字になっています。

 

長期保有する場合であっても、固定資産税の増減の目安にしたり、相続時や資産形成における資産額の試算のために「路線価」を知っておいて損はないでしょう。

 

また、売買時には、「路線価」など適切な知識があると不動産屋の言いなりで不利益を被る可能性も減らせそうです。

 

以上、「路線価」についてご紹介致しました。

 

マンション投資は様々な要素を考慮しなければならず、「路線価」だけを知っていれば良いわけではありませんが、土地価格の目安として「路線価」を使っております。

 

このような、様々なデータを積み上げて分析するのが我々プロの仕事です。必要な知識や情報量は「路線価」意外にも多くございます。

 

ご自身の時間を節約し大事なことに集中するために、専門家に任せてみてはいかがでしょうか。

 

マイプロは、ワンルームマンション投資のプロとして、あなたのマンション投資を成功へと導きます。

 

お気軽にご相談ください。

WRITER / 執筆者

株式会社マイプロ

飯山 芳治

1980年生まれ/埼玉県出身・在住
2級ファイナンシャル・プランニング技能士/一般社団法人 日本マンション投資アナリスト協会 会員
「お客様のリスクを最小化すること」をモットーとする投資コンサルタントであり、自ら2戸のワンルームマンションを所有する投資家でもある。

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